GYPSY TALE ~流浪する物語たち~

MMORPG「Master of Epic」、PCゲーム「The Elder Scrolls IV Oblivion」、「幻想神域 -Cross to Fate-」の世界を旅する放浪一家の日々を適当に書き連ねる日記

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5章3節

「Rumor」
 一度UPしたんだけど、間違って文章全消えしちゃったので書き直し~orz

 超・今さならながら注釈

※キャラクター名の中には実際にゲーム内に居る人から合意を得た上で拝借していますが、『ストーリー上、暴走キャラとして描かれるキャラクター』は筆者によって脚色されているものであり、本来のキャラクター性とは著しく異なります。その他モデルの存在しないオリジナルキャラクターも登場していきますが、フィクションなので、ゲーム中において同名のキャラクターがいても一切関係ありませんのであしからず。

~5章3節 黒き報せ~



 多くの人で賑わう城下町ビスクの中央部。空高く昇った太陽が街並みを見下ろしていて─
 巨大な転送装置アルターから降り立ったファリオンは商人達が露天を並べる中をすり抜けて、鞄から取り出したミートサンドを摘みながら地下墓地で聞いた暴動の話を思い返していた。特に気にしていたのは逃亡したという数名の暴徒についてだった。それは危険人物がこの近くに潜んでいるかもしれないと言う恐怖心を駆り立てる出来事であるが、ファリオンにとってはそれだけではすまなかった。はっきりと理由は分からないが、得体の知れない不安の種が胸の奥にわだかまる。無意識が何かを知らせようとしているのかもしれない・・・。
 もう少し情報を集めてみようかと思考を巡らせつつ、ファリオンはアルター前の広場から坂を下り、その先にある木工広場─そこは木工製品の製作販売の拠点として賑わうため、そう呼ばれていた─へと足を向けた。口の中で租借していたサンドイッチの最後の一欠けを飲み下し、木工広場の入り口へと足を踏み入れると丁度、聖堂の方から正午を告げる鐘の音が鳴り響いた。鐘の最後の一打ちが余韻を残して鳴り終わると、木工広場の前にある池が不自然にざわめいた。

 揺らめく水面は太陽の光を反射してキラキラと輝きを放ち、爆ぜたかと思うと小波の奥底から敵意の塊が現れ出でた。それはパンデモスやオーガのように巨体で全身をゆったりとした、それでいて各所が破れ擦り切れたローブで覆い隠していた。しかしその体格はローブの上からでもヒトのものではあり得ないと分かるほど異形に歪んでいた。池から飛び出した異形者はそのまま広場の中央に降り立つと両手を閃かせて、傍にいる突然の出来事に驚いて動きを止めていた商人や職人達を袖からちらりと覗く鋭利な爪で引き裂いた。突然の襲撃をかけた異形者は薙ぎ払った者に興味はないで、フードの陰に隠れて見えないその奥から荒々しく息を吐いて辺りを敵意を放ちながら新たな獲物を探して見渡す。
 凶撃から免れていた他の者たちは悲鳴を上げて、あっという間に逃げ去っていき・・・その場に残ったのはファリオン只一人。
「・・・・・・・・・・・」
 異形者のフードの陰から唯一確認できる真っ青に光る鋭い眼とファリオンの眼がばっちり合ってしまった。
「ちょ・・・冗談!!」
 ファリオンは背中に悪寒を感じつつ、すぐさま近くの港へと続く路地へと飛び込むように駆けた。異形者もすぐさま四つん這いに近い体勢で後を追いかけてくる。ファリオンは階段を一気に飛び降りて、転びそうになるも辛うじて踏みとどまり、そのまま転がるように角を曲がりながら口の中である言葉を唱え上げていた。
「─"天に踊る風の娘達 此の地に来たりて空の天幕降ろせ"」
 焦りの中、息も絶え絶えに導くは『風』の気配─それはファリオンの周囲に集まり優しく包み込んでいった。ファリオンは呪文の最後の言葉を唱える前に体に急停止をかけてその場に踏み止まって
「─"インヴィジビリティ"!」
言葉によって気配から力へと変えられたそれはファリオンの体を存在を一瞬のうちに覆い隠し、周囲の風景と同化させてしまった。ファリオンの姿が掻き消えたそのすぐ後に異形者が路地の角を曲がり現れるも、そこには既に獲物の姿は無い。異形者は訝しむように辺りを窺うもやはり何も見えず、そのまま路地の奥へとのっそりと進んでいく。異形者が自身のすぐ傍を通るときもファリオンは急な運動と焦りとで早鐘のように打つ胸の鼓動を手で押さえて、息を出来うる限り潜めてやり過ごし、やがて遠ざかる異形者の姿を見やるとすぐさまその場からばれない様にひっそりと動き、来た道を戻って角を曲がった先に身を隠した。
 このまま逃げ去っても良いが、襲われかけて何もせず帰るのはファリオンにとって少々癪な様子。ファリオンは直接戦闘が不得手な魔法士だが、それでも全く戦えないと言うことは無かった。壁越しに異形者の様子を窺いながら、魔法の触媒を入れている袋から人型を模った一枚の呪符を取り出すと、声を潜めて呪文を口ずさんだ。
「─"緑の園より疾く来たれ 地を這い塵食む使徒"」
 呪文の詩と呪符にこめられた"気"によって周囲から、四属の力とは似て非なる別の気配が引き寄せれて来た─その気配を敢えて呼ぶとするならそれは"自然"そのものか─呪符はカサッと一度揺れると、ファリオンの手をひとりでに離れ、石畳の上へと落ちると、染みこみ溶けるように消えてゆき、代わりに別の気配が石畳の下に生まれた。地面の下に現れた気配はファリオンの意思を汲み取り、その姿を未だ見せぬまま、遠くに見える異形者の元へと向かっていく。謎の気配は異形者の背後に辿り着くと、石畳を力強く突き破りその姿を露にする。それはテラワームと呼ばれる蠕虫(ぜんちゅう)の一種で、顎の周りに生やしたいくつ物鋭い爪を突然の襲撃に慌てて振り向いた異形者の肩や脇を突き刺し、鋭い牙の並ぶ顎で噛み付きかかった。牙は異形者の首筋を捉え、その肉を一心不乱に食むが、異形者の方も負けじと獣のような咆哮と共に凶爪をワームの腹(?)目掛けて振るう。
「させるか!"ブラッドルーレット"!」
 爪がワームに届く一瞬前にファリオンの唱えた魔法がワームを包む。真っ赤な泡が幾つもワームの周囲に現われ、異形者のワームを襲う爪を僅かばかり阻む。異形者の爪は威力を減じつつもしっかりとその腹を切り裂いたが、その爪が通り過ぎた軌道上にあった泡が音も無く弾け、泡の内から飛び出た衝撃が異形者を襲った。衝撃は爪の形となり異形者の胸元を穿つと布は破れ、その奥からちらりと濃い体毛が血と共に零れ出てくる。しかしワームの陰になり、それがファリオンの視界に入ることは無かったが─
 異形者とワームは互いに喰らいあうようにしつこく、荒々しく粘るように組み合った。ファリオンはその遥か後方からワームへと支援と回復の魔法をこっそりと掛け続けていたが、ワームの頭を殴りつけ、その体勢を崩して見えた向こう側にファリオンの姿を見つけた異形者は、中々倒れないワームのからくりに気づいたか、ワームを押し退け迷う事無くファリオンへと襲い掛かる。
「っと、まずった!」
 異形者がこちらに気づいたことを知るとファリオンは慌てて踵を返て走りながら、再び姿を隠す魔法を唱えようとするも背後からの気配から、ワームとの死闘で体力を大いに消耗しているもののそれなりの速度で後を追う異形者に詠唱が終わる前に追いつかれるであろうと察して、そのまま広場へと戻る階段を駆け上る。元々の身体能力は低いファリオンと手負いながら素早い動作で追い縋る異形者の死の追いかけっこ。果たしていつまで持つのか─

「・・・なんて悠長に待ってられるか。─"散せ"」
 階段を昇りきったファリオンと入れ違うように不意に現われた黒ずくめの男は、溜息交じりに呟きを洩らすと右手を前に差し出した。その手には一冊の赤い装丁のスペルブックが開かれていて、パラパラと勝手に頁が捲れていた。スペルブックが男の言葉に反応して黒い魔法士の望む頁を開くと、そこにびっしりと書き記されていた魔術の言葉から魔力が滲み溢れ一つの形を取って現出した。力は弾丸となり、階段下にいた異形者へと襲い掛かる。
 獲物を捉えると圧縮された魔力が弾け、局地的な嵐となって異形者へと牙をむいた。刃のような風が異形者の衣服を肉体を蹂躙し、激しい風圧が巨体をものともせずあっさりと吹き飛ばす。異形者の体は背後にあった壁に盛大に叩きつけられ、ずるずると石壁の上を滑って落ちてくる。それでも尚襲い掛かろうと敵意を向ける異形者に何の反応も見せず、淡々と黒い魔法士は追撃の魔法を紡いでいた。
「─"想い焦がれ溢るるは激情の焔 焼き払え"」
 言霊に従い集まるは『炎』の気配─黒い魔法士を中心に周囲の空気を温め、太陽の光を遮る影すら薄っすらと照らし出して、まだ力として形成されていない段階から既にその存在を見せ付けていた。『炎』の気配が十分に満ちると、黒い魔法士は冷淡にはっきりと、バースト、と一言呟いた。
「グアゥァ」
 降り注いだ火球が異形者の頭に直撃して爆発。肉片が弾け飛び、生きた松明となって人在らざる断末魔と共にその身を焼かれる異形者の姿をすっぽりと覆い隠していた衣服もその下から現われた全身を覆う体毛も燃え果て、辺りに肉を焼く香ばしい匂いが漂う。チロチロと蠢く真っ赤な舌が異形者の全身を余す事無く舐め尽すと、そこには炭化した物体がただ転がっているだけとなっていたのだった。

「ウェアロガ!」
 哀れな異形者の末路を見届けながらスペルブックを閉じて荷物袋の中へ仕舞っている黒い魔法士の背後からファリオンが声を掛けた。其の相手は同じ放浪民族の同胞が一人であった。黒い魔法士─ウェアロガが声に反応して振り向いた瞬間、その両肩にファリオンは手を置いてきて、ウェアロガは思わず驚きの声を洩らした。
「うぉ・・・」
「は~助かった。ナイスタイミング!」
 ファリオンは気の抜けたような安堵の息と共に吐き出した。
「・・・魔法屋か」
 ウェアロガはファリオンの肩に手を廻して、落ち着くように軽く数度叩いた。暫くしてやっと落ち着いたファリオンはウェアロガの方から手を離して、
「いきなりでホントびっくりしたわ・・・あれって一体何なんだろ?」
ファリオンの問いかけに、ウェアロガは異形者の成れの果てを見やる。
「恐らく釣られ熊だろう」
「釣られ熊って・・・熊は服なんて着ないでしょ」
常識はずれな答えにファリオンは信じられないという風に返すが、ウェアロガは真顔で
「このダイアロスで常識が通良しないのは・・・魔法屋、お前も分かってるだろう」
と言い放った。
「ん・・・まぁ、確かに」
 いまいち釈然としないながら、すっかり焦げた物体の方を見やれば、全身は歪ではあるが頭の形は熊のそれに近かった。
「コレが熊として、だ。なんで服着て襲い掛かってくるん」
「その様子じゃ魔法屋、知らないのか?」
 ウェアロガが眉を顰めながら問う言葉にファリオンは首を傾げる。
「何が?」
「現在ダイアロスの各地で、突然ヒトや獣が凶暴化する事件が多発している」
 ウェアロガのもたらしたニュースを聞いて、最近似たような話を聞いた気がして少し記憶を探った。
「先日あったって言う地下墓地の暴動もその一つだったり?」
「あぁ・・・それで・・・」
 その会話を遮るように遠くから人のざわめきが次第に近づいてくる。やかましい声が近づいてくることに気づいてウェアロガは言葉を切って、
「場所を変えるぞ」
と一言告げて、路地の先へと足早に進んでいった。その後をファリオンも追いかけて─

 ビスク港の一角へと場所は変わり、ウェアロガは積み上げられた木箱へと背中を預け腕組みをしつつ尋ねた。
「で、魔法屋は地下墓地の件を何処まで知っている」
「あ~なんでも、暗使ギルド員や冒険者が急に暴れだしてちょっとした暴動になったとか。鎮圧はしたようだけど、暴れた連中の一部は現在も逃走中って聞いたけど」
 ファリオンは地下墓地で回収の仕事をした際に他の術士から聞いた話を短くまとめて答えると、それを受けてウェアロガは一つ頷いて、
「そこまで知っているなら話は早い・・・」
少し考えるそぶりを見せてから
「これはギルドでも極秘だが・・・逃走者は5名、現在捜索中だがまだ1人も行方が掴めていない状態だそうだ」
「へぇ、しかしそんな極秘事項を部外者に話しちゃダメだろうに」
「いや、あんたは俺等一族の代表だからな。それにあんたにも関係のある話だ」
そういって更なる事実を告げた。
「逃走した5人のうち2人は、俺等の関係者だ」

| MoE:Book of Rumor | 19:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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